- ある音楽文化が伝承され、洗練と技巧化を進めても、「楽曲」という概念がほぼなさそうに思われることもある。
- インド古典音楽はその最たる例だろう。
- インド古典音楽では、旋律の構成要素としてのラーガ(旋法)やリズムの構成要素であるターラ(リズムパターン)が、演奏の構成要素として共有されている。
- 演奏者はたくさんのラーガとターラの中からその時の演奏で使うものを選び、それに従って即興演奏する。
- 演奏はラーガの提示~ターラの提示~即興演奏の交代(緊張と弛緩の過程を伴う)といった大きな枠組みのなかで行われる。
- ラーガやターラは「楽曲」ではない。その場の演奏自体も、あくまで「あるラーガの演奏」であって、楽曲ではない。
- 楽曲として固定化されるものよりも、その都度即興的に生成される演奏こそが音楽なのである。
インド古典音楽など
