インナ・ジェランナヤ Inna Zhelannaya Инна Желанная

インナ・ジェランナヤはロシアの民俗ポップ系の歌手。15年ほど前によく聴いていて、古いブログ(musiquest雑録)にも書いたことがあった。久しぶりに思い出して聴いたら、やはり良い。新しい情報はないかとググってみたが、相変わらず少ない中、岡崎凛さんという方のブログを発見。ふんふんと感心しながら見ていると、なんと私のブログへのリンクがあった。ネットの片隅の小さな記事でも目にとめてくださる方がいて、あんなに情報量が少なくても、なにがしかの役に立ったのだとすれば本当にうれしい。

ストレートな声と、けっして過度にならない、でも熱いものを秘めた表現が印象的。最初にいたFarlandersというグループは民俗(民族)楽器を駆使しつつ現代風のアレンジがよく、そこを離れてからは電子的なサウンドを背景に歌うことが多くなる。素朴な生楽器と電子音、背景がまったく対照的であっても、歌の基本的な印象が変わらないところが興味深い。

今ならYouTubeでしょう、と思って探すと、音源だけの印象を補強してくれる映像がいくつも見つかった。

まず、ファーランダース時代のライブ映像。

2003年ブルノ(チェコ)でのTV用ライブ。インナは中央でギター(アコースティック)を弾きながら歌っている。この頃は髪が長かったようだ。ほかのメンバーは、木管二人(一人がリーダーのセルゲイ・スタロスチン)、ベース、ギター(エレキ)、ドラム、パーカッション。木管の二人は、洞簫のような長い縦笛(おそらくウクライナのテレンカだろう)やクラリネットを吹いている。たぶん上記「雑録」を書いたときに見たのもこれだったと思う。

本人の名を冠したチャンネルもあって、レコーディング風景など興味深いのだが、短いものが多くちょっと散漫な感じもする。
比較的新しいものの多くは彼女が主催するアート・プロジェクトVILAというグループによるパフォーマンス。

動画の概要には folklore, electronics, progressive, psychedelic, trance, theater, plastic mystery と説明があり、メンバーはインナを含む女声4人と長い白髭の男性。彼はセルゲイ・”グレブステル”・カラチョフといい、ファーランダースではベースを弾いていた人。このプロジェクトでの担当は drums, electronics, arrangement, mixing となっている。実質的な音作りはこの人なのだろう。女性たち4人の声は完全に同質で、インナと同様に真っすぐで芯がある。vocal groupと書いてあるが、時にダンスパフォーマンスも行うようだし、4人でウクレレを鳴らしている動画もある。

これら2つの間に位置する2010年、ソロ活動を展開していたころのライブ映像が次のもの。
エカテリンブルグのライブハウスだそうで、粗削りなところもあるがけっこうアグレッシブな面も見せている。

昔よく聴いていたアルバムを集めたチャンネルもあった。
映像はないが、やっぱりとても良い。