ワルシャワ・ヴィレッジ・バンド Kapela ze wsi Warszawa, Warsaw Village Band

ポーランドの民俗ポップバンド。知ったのは別項のインナ・ジェランナヤと同じ頃だからたぶん20年近く前、やはりネットラジオのおすすめだったと思う。女性たちのストレートな声が魅力的で、古さを感じさせないバンドの音も相俟って気に入った。CDも2枚ほど持ってたはずだ。1997年結成、2004年にBBCのワールド・ミュージック賞を取っている。2004年のアルバム”Uprooting”のジャケットには3人の女性と3人の男性が写っている。楽器も持っているが、音源を聴く限りでは編成などはよくわからず、ただ女声が印象的だった。

この中の”In the Forest”という曲の映像があった。2006年ダブリンでの演奏。

女性たち3人はチェロ、ヴァイオリン、ツィンバロンを弾きながら歌っていたのだった。3人の声は同質で、芯があって真っすぐで心地よい。映像では男性は二人がパーカッション、一人がヴァイオリン。

見た目の印象としてはチェロの存在が大きいのだが、この女性(Maja Kleszcz)はその後バンドを離れ、代わりにヴァイオリンの女性が加わる。ヴァイオリンのうち一人はsukaというポーランド風民俗ヴァイオリン、もう一人はハーディガーディも演奏する。国際的な名声も固め、手堅い活動を続ける中で、男性たちも出入りはあったようで、ホームページには女性3人と男性5人(打楽器2、ベース、トランぺット、音響)の8人が載っている(サイトのトップの写真にはサックスやアコーディオンも含め11人いる)。

2021年のライブ映像。

今や大御所バンドという風格である。

そういえば、2008年に日本音楽学会で「『世界音楽』再考」というラウンドテーブルをやった。「ワールド・ミュージック」のブームが一段落した頃。前年には岩波書店から『事典 世界音楽の本』というのも出た。ワールドミュージックという言葉は広まったが、その使い方は立場によってさまざまだ。それを整理し考え直してみよう、というところからの企画だった。こういうものの常として、結局いろんな人がそれぞれの立場で言いたいことを言い合う、ということになったが、ある種ネタ見せ大会のようなものとして、面白い話題はそこそこ出たのではないかと思う。いろんなところで自文化や異文化やグローバリゼーションについて考えざるを得なくなった時代。その中でこのバンドも生まれ、今も存在意義を主張しているのだろう。